ゆるぱん

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ラダムール伝説-8-ブランコ

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春葉レモンは早引きしてもまっすぐ家に
帰らなかった
春葉の家は北東にあり途中には
公園がある、彼女はよくここで
ブランコ遊びをしてから、家に帰っていた


今日は日暮れまで公園にいるつもりだったが
一人ぼんやり、ブランコに座って考える内に
今帰ると、たぶん、学校から連絡がいってて
しかられるだろうな、でも、遅く帰ると
もっとしかられるだろう


帰る時間と叱られ加減は
比例するのだ、数学のとくいな
レモンは、即座に方程式を
頭の中で組み立てて、計算し


「今から帰ると母親のかっか度は
800ジュールだわ、危険指数まじかね」


そう考えて、レモンは腰をあげた、
近くに見える寺を通って、帰ろうか
ちょっと遠回りになるけど、
ここから5分もかからないわ

他方、夏田辰夫は帰りに秋石しのぶのクラスで
偶然を装って、一緒に下校しようと考えていた


辰夫: おお、またも偶然にあいましたねえ


「調子のいいこと、きっとまちぶせしてたんだわ」
そう秋石しのぶはとっさに、読み取った


かれんな表向きとは裏腹に、芯は強いのだ
自分で決めたことは最後までやりぬく
ど根性美形スタイルな、装い美女なのだ


けれど、けっしてぶりっこではないと
自分では確信している、なんといっても
帰国子女なのだから、つつましく
上品に生きてきたのだから


しのぶ: あら、私の事なのかしら


辰夫: そうだよ、帰り一緒に帰ろうって
    約束しなかったけど、今言ってるし、どう


しのぶ: そうなの、でも私
     ごめんなさいね
     今日は、密かに、たった一人で
     寄るところがありますのよ、では、
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といって、ものすごい勢いで、
廊下をかけぬけみるみるうちに
小さくなって、見えなくなってしまった


辰夫:ううん、しこた、しこた
    ちゃんと、約束のげんまんしとけばよかった


辰夫は首を垂れ、とぼとぼと下校し
南東の自分の家めざして帰ろうとしたが
せめてレモンでも誘って帰ろうとして


階下の高2の教室をのぞくと
レモンは早びけしたらしい
「どうしたんだろうと」辰夫は
不審にも思いながら一人で帰った


しのぶはクラシック喫茶「光陰」で一人静かに
クラシックを聞きながら、宿題を勉強していた


一杯のコーヒーでクラシックを聞きながら
何時間でも居られるし、マスターは優しいし
こっちに越してきてから、入学するまで
よく、近所のクラシックじじいと来ていた、


きょうのリクエストは
未完成だ、クラシックの音域としても広く、
もっとも低い音からもっとも高い音
までが通奏低音並みに流れる


出だし部分のやさしさ悲しさ加減が
心にしみて心を癒してくれる
彼女のお気に入りの曲だ


カランコロン、カランコロン、
誰か入ってきたらしい
珍しいわ、こんな時間に誰だろう
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